April 07, 2004

「援竜」発進! 帝都見参

大型レスキューロボット無線遠隔操作を初公開

マスタースレーブ方式の操作装置を搭載

 北九州市(西国・福岡県)のロボット製作企業テムザックは3月25日、消防研究所(東京都三鷹市)にて、実用試作機のレスキューロボットによる無線遠隔操作を公開した。
 「援竜」と名づけられたこのロボットは、テムザックと京都大学、九州工業大学、福岡県との共同研究により、同社が設計・製作を行なったもの。この3月に遠隔操作部分を開発、公開を迎えることとなった。
 「援竜」は災害時のレスキュー支援用途に応えるオールラウンド稼動を目標とし、ディーゼルエンジンを動力、走行仕様はキャタピラとなっている。公開当日は雨天だったにもかかわらず、平常に稼動し、「どのような状況であっても稼動できるロボット」という高本陽一同社社長の開発コンセプトに近づいていることを物語っていた。
 デモンストレーションでは、模擬としてつくられた瓦礫を2つのアームで除去、乗用車のドアを取り外し、救助誘導を行なった。現在の技術ではロボットで直接、人体を扱うことは未だ危険として、支援用途としての実用を目標としている。
 マスター部分では、ロボットに設置されたカメラによる映像をもとに、操作者の腕の動きによる操縦を可能としており、今回のデモで用いたSS無線のほか、PHSデータ通信による遠隔操作も可能としている。
 福岡県のロボット特区認定にあわせ、「援竜」を運転するための運転免許の発行を今回の開発グループの認定のもと開始、音響認証機能を実装した免許証は同時に運転キーとしても機能することでセキュリティーとしている。
 今後、北九州市消防本部での実証実験を続け、今年度中に6000万円台を目標に実用販売を目指している。

援竜のスレーブ(ロボット部分)の重さは5トン、全高3.45m、全幅2.4m、全長3.5m、動作自由度は22自由度

左右腕部の全開長は約10m、油圧駆動で動作する

マスター部分からは9ヶ所のカメラ映像をもとに遠隔操作。約500kgの重量で軽トラックでの運搬が可能

スレーブ部分中央にもコクピットを搭載、ジョイスティックによる直接操作が可能

「援流」URL http://www.enryu.jp/

この文は「週刊アスキー」ニュース記事としてコントリビュートしたものです