March 06, 2008

氾濫する緑色食品:麻痺する中国での食の安全の現場

日本における冷凍食品の劇薬混入においてやっと怖さをほとんどの日本人が実感するようになった中国の食品。

その前においても、中南米において医療品において多数の死者が出たり、米国の量販店で売られていたドッグフードで多くの犬が死ぬなど、中国からの輸入品においてしゃれにならないことが昨年でも頻発していた。

その中国の消費の現場では都市生活者を中心にあきらめの境地へと麻痺しているようだ。
中国においては「緑色食品」という国家認定基準が存在する。
「緑色食品」は無農薬もしくは低農薬、そして遺伝子組み換えでもない、すなわち自然で良質な食品である。
この「緑色食品」。都市のスーパーに行けば、認定シールもしくは自己主張で山のように存在し、無数の品目で存在している。
その姿たるや、日本における有機食品、自然食品の比ではないくらいだ。

「緑色」という言葉が普及した90年代後半以来、食品のみならず、環境志向のキーワードとして、そこら中で「緑色」スローガンがみなぎり、北京オリンピックも緑色五輪を標榜し、緑色であることを中共中央幹部にアピールするためペンキで山を緑色にしたまさに緑色バカの田舎まで現れたくらいにである。

北京で会社を経営する、すなわち中間層の友人に言わせると「こんなに緑色食品の種類や量があることはありえない。何が本物かわからないからみんな辟易している」という。何人かのかの地の人々にこのことを話しても「冷静に考えて、こんなに緑色食品が流通するわけないだろう」とのこと。
だから日本からの輸入食品が金持ちに売れるのだが、そんな高い生鮮品をいつも食べているわけにいかないので、とにかく出来る限り嘘を身極みて防衛するしかないという、あきらめの境地に達している。

大体、世界で一番海から隔絶された大都市であるウルムチやチベットのラサですら新鮮な海鮮料理が食べられるという、何でもありの国において、食の安全に対する考え方は信じられない領域から逃れられなくなっており、あきらめの境地に達しているのだ。

それならば、これくらいでつべこべ言うなという、彼の国の「おまいら」の気持ちも察することが出来るということだろう。
私たちに出来ることは必要でない限り中国のものを食べないようにして、黒酢とか茶葉とか中国でなければというものはよく選んで買うということでしょう。

追伸: 日本の素材だけでつくる中華料理が世界でいちばんおいしいとか(おいしいよ!)

文=岡田智博