September 18, 2003

Prix Ars Electronica 2003 授賞式が開催

時代の変化に翻弄されるメディアアート

 9月8日、オーストリア・リンツのORF(オーストリア放送協会)上オーストリア放送局で、第16回Prix Ars Electronica(アルス・エレクトロニカ賞)の表彰式が開催され、今年の受賞作品が公表された。

 同賞は、電子芸術の分野において、世界で最も価値のある賞とされており、今年も世界各地よりこの一年の代表作が寄せられた。

 ハイライトというべき、インタラクティブアートの部門のコールデンニカ(金賞)には、英国でTV番組にまでなったGPSとワイヤレス通信を使った「鬼ごっこ」、「Can you see me now?」が受賞、銀賞にはプログラムコードをキャラクター化し攻撃するゲーム感覚の作品「nybble-engine-toolZ」と明和電機が初受賞した。

 一方、ネット部門ではコンセプチャルなものに授与するネットビジョン部門の金賞に、ニューヨークのフリーWiHiポイント探しのワークショップゲーム「ノードランナー」が、そしてデザインや美しさを競うネットエクセレンス部門には英国では半数以上が10代のユーザーというホテルを模した3Dアバター型コミュニティーサービス「Habbo Hotel」に授与された。
 今回の作品授与に対しては、新世代のアーティストを中心に観衆の間からは「日本では既に実用化されいろいろな遊びが自然発生的に生まれているGPSケータイ的な作品が今さら賞を取るなど時代錯誤も甚だしい」「ホットスポット探しのどこが評価なのだ」など、議論噴出であった。「nybble-engine-toolZ」などは、攻撃して撃つとそれをイベントにしてホワイトハウスに抗議のEメールが送信されるという、いわば連続スパム発生作品であったりするなど、まさにITが当たり前となる時代の中で、取り残されるメディアアートの一端を示すかのようであった。
 その中で、明和電機のほか、コンピュータアニメーションで山村浩二氏の「頭山」が銀賞を、デジタルミュージックで声を電子楽器で変化させ演奏する「Astro Twin / Cosmos」が金賞を獲得するなど光る活躍を見せていた。


Ars Electronica http://www.aec.at/

この文章は「週刊アスキー」ニュース記事用につくられたものです