December 24, 2005

日本型現代芸術がグラフティと対峙した歴史的記録

横浜トリエンナーレで沸いた筈の2005年秋の日本のアートシーン。
奇しくも金沢21世紀美術館より始まったゲルハルトリヒター展や同じ横浜のBankART Life といった全国各館の意欲ある企画が花盛りでトリエンナーレが霞むほどのシーンであった。

その中で出色は、グラフティーを直球でテーマにした水戸芸術館の「X‐COLOR Graffiti in Japan」展だ。
水戸芸術館といったら、沈滞する中心市街地を舞台にした「Cafe in Mito」などストリートを使ったサイトスペシフィックな企画が力づよい館であるが、その矛先がグラフティーに向かい、独自の解釈でそのグラフティーをキュレーションする刺激的な作業が行われたのだ。
だからといって色物企画ではなく、企画協力者にオルタナティブカルチャーの巨魁である能勢伊勢雄氏を迎えるというフィーチャリングはその刺激をより重みを持ったものとした。

この展覧会のためのカタログが遂に発行された。その現場に居なかった人こそ、手にとってその刺激を得てもらいたい:


ちなみに同展の評価とともに日本の労働運動とグラフティーとをからめた評伝を、大学院時代の同級の近藤真理子さんが、ハイクラス化に大いに舵が動いたART ITリニューアル号に寄稿しています。